クレジットカードの国際ブランドとは何か?気になる6大ブランドの特徴とカード選びのポイントを解説
クレジットカードを使う上で絶対に覚えておきたいのが「国際ブランド」です。VISAとかマスターカードとかのことです、と言えばわかりやすいかもしれません。既にクレジットカードをお持ちの方は、表面の右下をご覧いただければそれらしいロゴを確認できると思います。
国際ブランドは世界共通の規格で、主に以下の6種類があります。
- VISA(ビザ)
- マスターカード
- JCB(ジェーシービー)
- アメリカン・エキスプレス(アメックスとも呼ぶ)
- ダイナースクラブ
- 銀聯(ぎんれん)
クレジットカードに入会するとき、必ず以上の国際ブランドの中から選ばなければいけません(選択肢がないカードもあります)。しかし、いきなり国際ブランドを選べと言われても、どれを選べば良いのかわからないでしょう。そこでこの記事では、まず国際ブランドが果たす役割といった基礎知識を紹介し、そのうえで各ブランドの特徴を紹介します。自分に合った国際ブランドがどれなのかを把握し、ブランド選びの参考にしてください。
目次
国際ブランドとは?基礎知識を紹介
国際ブランドは利用できるお店を示すもの
クレジットカード初心者の方に「国際ブランドって何?」と聞かれたら、「カードを利用できるお店を示すもの」と答えるのが最初は一番わかりやすいかなと思います。例えば、同じ楽天カードでも、VISAブランドの楽天カードならVISAブランド加盟店で利用でき、JCBブランドの楽天カードならJCB加盟店で利用できることになります。なお、アメックスとダイナースクラブにおいては、JCBと提携しているので自社ブランドの加盟店だけでなく一部のJCB加盟店でも利用できます。
お店によってはJCBしか対応していなかったり、VISAとマスターカードとアメックスの複数ブランドに対応していたりとバラバラです。基本的に規模の大きいお店は複数のブランドを扱っていますが、小さいお店だと一部のブランドにしか対応していないことが多いです。
クレジットカードは1枚につき1国際ブランドが原則となるので、例えばJCBブランドのカードしか持っていなければ、当然JCBブランドを扱っていないお店では決済できません。そこで複数枚のクレジットカードに入会し、それぞれ異なるブランドでカードを発行することで、どんなお店でもカード決済できるようにする、というのがクレジットカード愛好家の常識です。
国際ブランドによっては受けられるサービスが異なる
国際ブランドが違うと、利用先だけでなく受けられるサービスも違ってきます。特にJCB、アメックス、ダイナースクラブは、T&Eカードブランド(T&Eはトラベル&エンターテイメントの略)と呼ばれ、旅行保険や旅行先で手厚いサポートサービスを受けられます。何かトラブルがあった時に補償が受けられたり、現地の案内を日本語でサポートしてもらえたりします。
また、JCBは定期的にJCBマジカルというディズニーランド貸し切りイベントを開催しています。これはJCBブランドのクレジットカード所有者だけが抽選に応募できる特典です。つまり極端なことを言えば、同じカードでもVISAやマスターカードを選んだ場合ではディズニーランドには行けませんが、JCBを選べばディズニーランドに行けちゃうわけです。
他にも旅行保険の補償金額が異なったり、利用できるラウンジの数が違ったり、といった違いがあります。特典の価値は人それぞれなので、どのブランドの特典が優れているかは決められません。ただ、そこまで決定的に差が出るものでもないので、あまり気にする必要はないと思います。
国際ブランドの選び方
どの国際ブランドを選ぶかによって利用先や特典内容が異なるため、どれを選ぶのが最適なのか迷ってしまうでしょう。ここからは国際ブランドの選び方をご案内します。
まず考えたいのが、海外でも利用する見込みがあるかどうかです。日本国内ではどのブランドを選ぼうが利用できるお店にあまり差がありません。しかし海外ではVISA、マスターカードが使えるお店が多いのです。海外とはいえ台湾や韓国などの日本周辺国ではまだそれほど差がありませんが、ヨーロッパや南米なんかになってくると、JCBを見る機会は極端に減るでしょう。
実際にVISAとマスターカードが世界中でのシェアの1、2を争うと言われています。海外でもカードを利用する機会がある人は、VISAブランドかマスターカードブランドのカードを最低1枚は持っておくのがよいでしょう。また、特典に注目すると、海外でも役立つ特典はアメックス、ダイナースに多く付帯しています。
一方、国内では前述のように利用先にそこまでの差はありませんし、特典面においてもそれぞれ役立つ&お得な特典があり、優劣がつけられません。
諸々をまとめると、以下の通りに国際ブランドを選ぶと良いでしょう。
- 海外によく行く人
- お店でカード利用できることを重視するなら:VISA、マスターカード
- 海外旅行でお得・便利な特典を重視するなら:アメックス、ダイナースクラブ
- ほぼ国内でしか使わない人
- ディズニー好きなら:JCB
- それ以外の人:どのブランでも良し、直感に従おう
そして、今後2枚目、3枚目とカードを作る時には、既に持っているカードのブランドとは違うブランドを選ぶようにすれば、より多くのお店で利用することができます。
6大国際ブランドの特徴まとめ
この記事の冒頭で紹介した、6種類の国際ブランドのことをまとめて6大国際ブランドと呼びます。日本国内でクレジットカードに申し込む際には、銀聯を除いた5種類から選ぶ場合がほとんどです。ここでは、6大国際ブランドそれぞれの特徴について順番に紹介していきます。
VISAの特徴
VISAは、世界トップクラスのシェアを持つ国際ブランドで、世界中で発行されている全てのクレジットカードの半数近くはVISAブランドだと言われています。会員数は世界中で20億人にも上ると言われ、加盟店舗数も4000万店舗近くあると言われています。ほぼ使えない国や地域は無いと言われているほど、世界中で幅広く利用されている国際ブランドです。
日本国内でもJCBと並んで発行枚数と加盟店の数はトップクラスです。クレジットカードで決済できるお店の中で、VISAが使えないお店はほとんど無いと言ってもいいでしょう。それほど断トツの安定感と信頼感を持っているブランドです。利用できるお店の多さがVISAブランド最大の特徴です。
VISAは、JCBやアメックス、ダイナースとは違い、自社でカードの発行はしていません。そのため、基本的にはカードに付帯する保険や優待などの特典サービスの内容はカード発行会社によって異なります。VISAカード=三井住友カードと思っている人もいるかもしれませんが、楽天カードのVISAカードや、イオンカードのVISAカードなどのように、VISAブランドのカードの1種に過ぎません。これは国内でVISAと提携してクレジットカードを発行したのが三井住友が第一号で、日本のクレジットカード黎明期に、VISA=三井住友とでも言えるような時期があったからでしょう。
ちなみに、VISAとは「Visa International Service Association」(ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーション)の略だそうです。杉原千畝の命のビザでもお馴染みの、入国査証を意味するVISAとは関係ないそうです。ただし、提供しているサービス内容が、金融面のパスポート的な役割を果たしているとも言えるため、そこを深読みして意味的に含まれているとする説もあるようです。
マスターカードの特徴
マスターカードはVISAに次いで世界No.2のシェアを持つ国際ブランドで、VISAと並んで2大国際ブランドとも言われています。利用できる国や地域、加盟店数もVISAと比較して同等の規模を誇っている、世界中で利用できる国際ブランドです。ただ、VISAよりも知名度で劣るせいか、会員の数だけはVISAの半数近くにとどまっているそうで、これから会員数でもVISAと並ぶ規模になれるのか注目です。
一昔前は、VISAと比較するとアメリカ方面に弱く、逆にヨーロッパに強いと言われていたそうですが、現在ではこの差もほとんどなくなってきているようです。日本国内においても、加盟店の数は、VISA、JCBと比較しても遜色ありません。日常でカード利用の不便さを感じることはほとんどないと言っていいでしょう。
マスターカードもVISAと同じく、自社でカードの発行はしていません。そのため、会員へのサービス内容は基本的にカード発行会社次第となっていました。しかし、最近ではマスターカードも、マスターカードブランドのカード保有者ならホテルやリゾートの優待サービスなどが受けられる「プライスレスジャパン」を開始するなどして、徐々にサービスを充実させています。
ちなみにマスターカードと言えば「Priceless」 と「お金で買えない価値がある、買えるものはマスターカードで 」というキャッチコピーが有名です。
JCBの特徴
JCBは国際ブランドの中では唯一日本の会社です。アジア初の国際ブランドでもあります。日本の会社だけに国内の加盟店舗数は多くトップのシェアを誇ります。一方、海外の加盟店は他のブランド、特にVISAやマスターカードと比較すると少なく、あまり普及しているとは言えません。しかし、ハワイやグアム、アジア諸国など日本人観光客が多い国では、加盟店も多く不便は感じないと言われています。
JCBはVISAやマスターカードとは違い自社でもカードを発行しています。つまりJCBブランドのカードには、JCB自身が発行しているカードと他社が発行しているカードがあるわけです。
- 自社発行のもの:JCB一般カード
- 他社発行のもの:楽天カード(JCB)、ライフカード(JCB)
発行会社にかかわらず共通した特典があったり、発行会社によって特典が異なったりします。
共通する特徴の例を挙げると、JCBブランドのカードは電子マネーにチャージできるものが多い、という傾向があります。
他にも、JCBと言えば東京ディズニーランドのスポンサーになっていることでも有名です。ディズニーランドに行ったことのある人なら、JCBのトリコロールカラーのマークを、ランド内でよく見た覚えがある人も多いのではないでしょうか。「国際ブランドによっては受けられるサービスが異なる」でも触れましたが、JCBは、ディズニーランドを貸し切ってユーザーを招待するイベントをやっています。このイベントのチケットはJCBブランドのカードの会員でないと応募できないので、興味のある人はJCBブランドのカードを最低1枚は作っておきましょう。
また、世界60か国に、日本語で現地でのサポートをしてくれる「JCBプラザ」というサービスもあります。海外旅行の際、現地の観光情報をはじめ、現地のJCB加盟店の情報、ホテルやレストランの予約、航空券など各種チケットの手配、JCBカードの紛失・盗難時の対応など、旅行先での様々なサポートを日本語で対応してくれます。利用できる加盟店の数ではVISAやマスターカードには及びませんが、このサービスを利用するために海外旅行にJCBブランドのカードを1枚は持っておきたいところです。
アメリカン・エキスプレスの特徴
アメリカン・エキスプレスは、加盟店舗数や発行枚数では2大国際ブランドにはかないませんが、ブランドの持つステータス性の高さ、付帯するサービスの充実度が魅力の国際ブランドです。国内の加盟店舗数も、VISAやマスターカード、JCBと比べると少ないですが、JCBと提携していて互いの加盟店で利用可能(一部利用できない店もあり)なため、そこまで困ることもないでしょう。
アメックスブランドのカードは、何と言っても世界的に信用度が高いことです。いわゆる高ステータスとして知られ、同じカードでもアメックスブランドだけは年会費が高額で特典が豊富にしている、なんてカードもあります。
また、アメックスもJCB同様に自社でカードを発行しています。中でもアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードは世界初のゴールドカードとも言われ、古くから富裕層向けカードとして有名でした。今ではさらに上位のアメリカン・エキスプレス・プラチナ・カードが登場したため、少し価値は落ちましたが、それでもアメックスのゴールドカードをもっているなら、「信用できるお客さんに違いない」とみなされることがあります。
空港ラウンジの利用、手荷物配送や預かりサービスなど、空港を利用する人向けの特典を多く利用できるのもアメックスの特徴です。こういうサービスが充実していることや海外での信用度の高さから、アメックスは海外旅行によく行かれる人、海外出張が多いビジネスマンなどに特におすすめの国際ブランドです。
ちなみに、プラチナカードの更に上を行く「アメリカン・エキスプレス・センチュリオン・カード」なんてものもあります。センチュリオンは世界中の富裕層が一度は持ちたいと思う、世界最高峰と言っていいクレジットカードです。その年会費は30万円以上と言われ、さらに会員数に上限が決められていて退会者が出ないと新しい人が入れない仕組みになっているなど、色々と都市伝説めいた話も多く噂されているカードです。
ダイナースクラブの特徴
ダイナースクラブもアメックスと並んで、そのステータス性の高さで有名な国際ブランドです。世界で初めてクレジットカードを発行した会社でもあります。
年会費は高く、利用できる加盟店も高給ホテルやレストランなどが多いです。特に「食」に関するサービスに力を入れていて、例えば高級レストランで会員だけにされるおもてなしや、一見さんお断りの高級料亭をダイナースクラブが予約を取ってくれるといったサービスを受けられます。
アメックスと同じくJCBと提携していて、JCBが利用できる店舗で利用できる(一部利用できいないお店もあり)ので、国内で利用する分には、他の国際ブランドと使い勝手にそれほど差はないでしょう。海外の加盟店は、基本的に高級店になりますが、北米においてはマスターカードと提携しているので、普通のお店で利用できるお店も多いようです。
アメックスと同じように、加盟店数よりもステータス性や高いサービス内容を重視する人におすすめのブランドです。
ちなみに日本においては三井住友トラストクラブがダイナースカードを発行しているため、厳密に言えば自社発行のカードはありません。
銀聯の特徴
銀聯(ぎんれん)は中国の国際ブランドで、JCBに次いでアジアで2番目に誕生した国際ブランドです。アジアをはじめ、中国人観光客の多いアメリカやオーストラリア、ヨーロッパでも今加盟店が急増しています。日本だけでなく世界中が中国人の爆買いにあやかりたいと考えていることがよくわかります。
その発行枚数はなんと、VISAをしのいで世界1位となったと言われています。しかし、実はこれにはカラクリがあります。銀嶺ブランドが付いたカードの発行枚数が世界1位とは言っても、その大半がクレジットカードではなく、デビットカードの発行枚数となっています。これは、中国のキャッシュカードには銀嶺ブランドが最初からつくそうで、預金口座を作ってキャッシュカードさえ作れば、みんな銀聯ブランドのデビットカードを持つことになるわけです。この仕組みで、あの人口ですから、発行枚数は自然と爆発するというわけです。
中国国内における加盟店数は、VISAやマスターカードよりも多いです。都市部ではまず大丈夫ですが、田舎に方に行くと、銀聯しか使えないなんてこともよくあるそうです。中国で買い物するなら、VISAやマスターカードよりも銀聯の方が使い勝手が良いと言えます。
日本国内では三井住友カードと三菱UFJニコスが銀嶺ブランドのカードを発行しています。三井住友銀嶺カードは単体でも発行可能ですが、同じ三井住友カードが発行するANA銀嶺カードと三菱UFJニコスが発行する銀聯カードの場合は、それぞれANAカードかMUFGカードに入会していないと発行できません。
日本国内でも使えますが、あえて使う意味も無いでしょう。それよりは中国に出張が多い人などは、1枚持っておくと便利だと思います。ちなみに銀聯カードは、利用する時に暗証番号(6桁)とサインの両方が必要です。
国際ブランド豆知識
MUFG、セゾン、ニコスなどの国内ブランドとは?
国内で流通しているクレジットカードには、国際ブランドだけでなく、国内ブランドを搭載しているカードもあります。国内ブランドは主なものに、
- ジャックス
- MUFG
- ニコス
- セゾン
- UC
- セディナ
- 楽天
といったものがあります。基本的な考え方は国際ブランドと同じで、MUFG加盟店ならMUFGカードを利用できるし、セゾンカード加盟店ならセゾンカードを利用できます。しかし、国内ブランドは国内でしか利用できないため、各カードは利用範囲を広げるため国際ブランドと提携して海外での利用も可能にしています。そうすることによって、例えばMUFGカードVISAならMUFG加盟店ではなくてもVISA加盟店であれば利用できるようになっています。
現実的には加盟店の数に圧倒的な差があることから、国際ブランドだけしか搭載していないクレジットカードはたくさんありますが、国内ブランドだけしか搭載していないクレジットカードはほとんどありません。現在のクレジットカードの利用は国際ブランドありきとなっているのが実状となっています。
Apple Payを利用するならJCBかマスターカードを選ぼう
今話題のApple Payを利用するにも、国際ブランド選びが重要です。Apple Pay を利用可能なクレジットカードであっても、国際ブランドによっては利用できる機能が制限されてしまうことがあります。例えば、VISAはオンラインショッピングやアプリ内での決済(Suicaでのチャージなど)をApple Pay で利用することはできません。
JCBかマスターカードなら、オンラインや実店舗、アプリなど、全てのApple Payの機能を利用することができます。Apple Payを利用することを考えるなら、国際ブランドはJCBかマスターカードを選ぶようにしましょう。