固定資産:簿記上の扱いと購入時と売却時の仕訳のルールを解説
このページでは、固定資産を購入した時、売却した時の仕訳のルールや注意点を解説します。
簿記における固定資産とは
固定資産とは、建物や備品など1年を超えて所有する予定の財産のことです。
簿記における固定資産は販売目的ではなく、継続的に使用することが条件です。販売が目的の投資用マンションは固定資産には当たりません。
一方で、1年以内に現金化する予定の資産のことを流動資産と呼びます。
固定資産には、有形固定資産と無形固定資産の2種類があります。
- 有形固定資産:建物や土地のように目に見える財産
- 無形固定資産:実在を伴わないが、1年を超えて会社が保有する財産(特許権、商標権など)
日商簿記3級では有形固定資産のみが出題範囲です。
上場企業が開示する貸借対照表の資産の部には、有形固定資産、無形固定資産の勘定科目がそれぞれ掲載されています。
固定資産購入時の仕訳のルールと仕訳例
固定資産は資産グループに属する勘定科目なので、取得した時は資産が増加するので、借方(左側)に取得原価を記入します。
取得原価とは、資産を取得するまでに費やした金額一式のことです。土地や建物を購入する時にかかる売買手数料や整地費用など、購入に付随するコストを含めた総額を指します。
8/1、建物1,000円を購入し、小切手で支払った。また、購入にあたって仲介手数料200円は現金で支払った
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
建物 | 1,200 | 当座預金 現金 |
1,000 200 |
建物は資産グループの勘定科目なので増加した場合は借方(左側)に記入します。
金額は取得原価で記入するため、仲介手数料も建物の勘定科目に含めます。
固定資産売却時の仕訳のルールと仕訳例
固定資産を売却した時は、損をした場合は固定資産売却損、利益をだした場合は固定資産売却益勘定を使用します。
そのために、まず売却する固定資産の現在価値(帳簿価額)を調べます。
- 直接法の場合:対象の固定資産勘定の帳簿価額
- 間接法の場合:取得原価 - 減価償却累計額
減価償却累計額の算出法がわからない場合は、固定資産の減価償却:取得した固定資産の価値を費用計上する方法、仕訳ルールを解説をお読みください。
直接法の仕訳ルール
直接法は既に固定資産の簿価が減額してあるので、取得原価ではなく帳簿価額を記入します。
建物を3,000円で売却し、代金を現金で受け取った。なお、取得原価は5,000円、既に計上された減価償却費用の金額は1,800円とする
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 固定資産売却損 |
3,000 200 |
建物 | 3,200 |
間接法の仕訳ルール
間接法は固定資産勘定自体の簿価が減少しないため取得原価のまま記入します。
減価償却累計額勘定は固定資産勘定とセット、固定資産自体がなくなる場合、減価償却累計額勘定も併せて消滅するので固定資産勘定と逆の借方(左側)に記入しましょう。
建物を3,000円で売却し、代金を現金で受け取った。なお、取得原価は5,000円、既に計上された減価償却費用の金額は1,800円とする
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 減価償却累計額 固定資産売却損 |
3,000 1,800 200 |
建物 | 5,000 |
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