当座借越勘定:簿記上の扱いと仕訳のルールを解説
このページでは、負債勘定グループに属する勘定科目である「当座借越」の定義や仕訳のルール、注意点解説します。
当座借越勘定とは
当座借越とは、当座預金の残高を超えて当座預金を引き出す取引のことです。
たとえば、当座預金の残高100万円でも事情があって110万円引き出したい時に、
予め残高を越えて引き出せる契約を銀行と結ぶことで、残高を超えて引き出すことできます。
この場合銀行から10万円資金を借りることになります。これが当座借越です。
当座借越勘定:二勘定制の仕訳ルール
当座借越勘定を使った仕訳には次の2つの方法があります。
- 2つの勘定科目で処理する方法:二勘定制
- 1つの勘定科目で処理する方法:一勘定制
まずは、二勘定制について解説します。
二勘定制とは、当座預金の残高を超えて引き出した金額を当座借越勘定(負債グループ)を用いて処理する方法です。
下の図のように当座預金2,000円の残高に対して3,000円引き出したい時の仕訳を確認しましょう。
残高の2,000円分は当座預金勘定で処理し、不足した1,000円を当座借越勘定で処理をします。
7/19、買掛金3,000円を小切手を振り出して支払った。なお、当座預金の残高は2,000円であるが、借越限度額5,000円の当座借越契約を締結している。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 3,000 | 当座預金 当座借越 |
2,000 1,000 |
最初に2,000円を当座預金の残高から支払います。資産の減少になるため貸方(右側)に記入します。
続いて不足分は、当座借越勘定(負債グループ)で計上します。負債の増加として貸方(右側)に記入します。
当座借越分は銀行に返済する時の仕訳は下の通りです。
7/30、現金2,000円を当座預金に預け入れた。なお、現在当座借越の残高は1,000円であった。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 当座借越 |
1,000 1,000 |
現金 | 2,000 |
当座預金(資産)が増加するので借方(左側)へ、当座借越(負債)は減少するので同じく借方(左側)へ記入します。
返済に利用した現金(資産)は減少するので貸方(右側)へ記入します。
当座借越勘定:一勘定制の仕訳ルール
一勘定制とは、全ての取引を当座預金勘定で処理する方法のことです。
二勘定制は、取引のたびに預金残高や借越残高を調べる必要があり手間がかかりますが、一勘定制はその煩わしさから解放されます。
7/19、買掛金3,000円を小切手を振り出して支払った。なお、当座預金の残高は2,000円であるが、借越限度額5,000円の当座借越契約を締結している。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 3,000 | 当座 | 3,000 |
取引内容は二勘定制で紹介した内容と同じですが、仕訳はご覧の通り異なります。
一勘定制は当座勘定(資産グループ)のみで処理するため、貸方(右側)に当座勘定のみを記入します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
当座 | 2,000 | 現金 | 2,000 |
返済時も当座勘定のみで処理をします。
当座預金の残高(資産)が増えるので当座預金勘定を借方(左側)へ、返済に使用した現金勘定(資産)を貸方(右側)へ記入します。
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