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分記法:商品売買取引で仕入勘定と売上勘定を使用しない仕訳の方法を解説

公開年月日 : 2018/07/06 更新年月日 : 2018/07/07

このページでは、商品売買の記帳ルールのひとつである分記法について解説します。

商品売買の取引の記帳ルールには、大きく分記法と三分法の2つがあります。

このうち日商簿記3級では、三分法に関する問題が出題されます。

ここで紹介する分記法は出題されませんが、分記法を理解しておいた方が三分法の理解も進むので、まずは分記法の概要を紹介します。

商品売買の概要については簿記における商品売買とは何か?イメージを解説をお読みください。

分記法とは

分記法とは、ざっくり説明すると仕入勘定と売上勘定を使用しない仕訳の方法のことです。

大切なルールは次の3点

  • 仕入先から商品を仕入た時は、商品勘定を借方(左側)に記入します(資産の増加)
  • 得意先に商品を販売した時は、商品勘定を貸方(右側)に記入します(資産の減少)
  • 販売時に生じた儲けは、商品売買益勘定を貸方(右側)に記入します(資産の差額)

商品の増減は商品勘定(資産グループ)で管理し、利益は商品売買益勘定(収益グループ)で管理します。

このルールを念頭に次の仕訳例を確認しましょう。

分記法の仕訳例

7/13 八百屋は農家からりんごを10個2,000円で仕入れ 代金は現金で支払った

7/15 八百屋は消費者にりんごを8個2,400円で販売し 代金は現金で受け取った

八百屋は、1個200円(2,000円÷10個)で仕入れたりんごを300円(2,400円÷8個)で販売することが読み取れます。

まずは仕入時の仕訳から解説します。

りんごを2,000円分購入したので、分記法のルールに従い商品が増加した時は

借方の勘定科目に商品を記入します。一方で、現金が減少したため貸方の勘定科目に現金を記入します。

分記法-仕入時の仕訳
借方科目 金額 貸方科目 金額
商品 2,000 現金 2,000

, (カンマ)を忘れずに。日商簿記の試験では勘定科目や金額が正しくてもカンマを忘れてしまうと不正解になります。

続いて、販売時の仕訳を解説します。

1個300円のりんごが8個分売れたので300円×8個=2,400円を販売しました。

1個200円で仕入れたりんごなので、販売したりんごの仕入値は200円×8個=1,600円になります。

販売時の仕訳は、

  • 在庫のりんごがどれだけ減ったのか
  • りんごを販売した結果、いくらもうけたのか

以上2点を考えます。

商品は仕入値で管理するため商品が1,600円分減ります。

従って、貸方に商品勘定商品1,600円を記入します。

利益は100円×8個=800円になり、この金額を商品売買益勘定で計上します。

分記法-販売時の仕訳
借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 2,400 商品
商品売買益
1,600
800

分記法のデメリット:仕入額と販売額をひもづける必要がある。管理が面倒

分記法は、商品勘定の残高を見るだけでどれだけ在庫があるのか把握できるメリットがある半面、

販売する度に商品の仕入額をもとに利益(商品売買益)を計算しなければならない欠点もあります。

分記法を採用した場合は、下の表のような仕入リスト、販売リストを作成して仕入額と販売額をひもづける必要があるため管理しなければいけません。

りんごの仕入リスト

日付 仕入単価 仕入個数 仕入総額
1月2日 200円 10個 2,000円
1月4日 210円 20個 4,200円
1月10日 190円 20個 3,800円
1月14日 194円 10個 1,940円
1月15日 190円 10個 1,900円
1月21日 185円 26個 4,810円

りんごの販売リスト

日付 販売単価 販売個数 販売総額 売上原価 原価内訳 商品売買益
1月5日 300円 15個 3,500円 3,050円 200円x10個
210円x5個
450円
1月11日 300円 20個 6,000円 3,900円 210円x5個
190円x15個
2,100円
1月16日 300円 25個 7,500円 4,790円 190円x5個
194円x10個
190円x10個
2,710円

りんごが売れるたびに、

「このりんごはいくらで買ったのか?」

を確認しなければいけません。

管理を怠っていると購入額がわからなくなります。

この手法をすべての商品に適用し、仕訳をするのは中々ハードルが高そうです。

このようなデメリットがあるため、三分法などの記帳ルールが存在するのです。

次のページでは三分法について解説します。

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