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諸掛り:商品売買の過程で生じる運賃、保険料などの諸費用の扱い、仕訳の方法を解説

公開年月日 : 2018/07/06 更新年月日 : 2018/07/06

このページでは、商品売買の過程で生じる諸費用(諸掛り)の扱い方や仕訳の方法について解説します。

諸掛りとは

諸掛りとは、商品売買の過程で生じる運賃、運送保険料、関税などの諸費用のことです。

商品の仕入に係る諸費用を仕入諸掛り、販売に係る諸費用を売上諸掛りといいます。

簿記では、諸掛りを処理する際にも仕訳のルールがあります。

諸掛りの仕訳例

仕入諸掛りは仕入原価に加算して処理し、売上諸掛りは販売費勘定で処理することが原則です。

仕訳のサンプルを確認してください。

7/13 青森農園から商品を300円仕入れ 代金は掛けとした
なお取引費用50円を現金で支払った

仕訳-諸掛り-仕入時
借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 350 買掛金
現金
300
50

仕入諸掛りは仕入原価に加算する、つまり仕入勘定(費用グループ)に加算するのが原則です。

この取引では、商品300円+取引費用50円=350円を仕入勘定として処理しました。

販売諸掛りの仕訳を確認しましょう。

7/15 東京商店に商品を500円で販売し 代金は掛けとして翌月末に受け取ることとした
なお発送費用80円を現金で支払った

仕訳-諸掛り-販売時
借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金
発送費
500
60
売上
現金
500
60

販売諸掛りは、販売費で処理するのが原則です。発送費勘定を借方に記入します。

日商簿記3級では、使用する勘定科目は問題用紙の一覧から選択したり指定されるので、発送費、運送費など色々な名称が想定されますが、問題文の指示に従って回答しましょう。

先方が負担する費用を一時的に立て替えた時の仕訳ルール

先方が負担すべき費用を一時的にこちらが立て替えた場合はどのような仕訳になるか確認しましょう。

立替費用に関するルールは2つあり、何れかを採用します。

仕入諸掛りを立て替えた場合は、

  • 立替金勘定で処理する
  • 買掛金を減額させる

そして、売上諸掛りを立て替えた場合は、

  • 立替金勘定で処理する
  • 売掛金を増加させる

仕入諸掛りも売上諸掛りも立替金勘定を使うか、買掛金・売掛金で調整するかを選択します。

先方が負担する費用を一時的に立て替えた時の仕訳例

先方が負担する費用を一時的に立て替えた時の仕訳を確認しましょう。

まずは、仕入時の諸掛りを立替た時の仕訳です。

7/13 青森農園から商品を300円仕入れ 代金は掛けとした
なお 取引費用50円を現金で立替払いした

仕訳-諸掛り-仕入時(立替金勘定)
借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入
立替金
300
50
買掛金
現金
300
50
仕訳-諸掛り-仕入時(買掛金減額)
借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 300 買掛金
現金
250
50

続いては販売諸掛りを立て替えた時の取引です。

7/15 東京商店に商品を500円で販売し 代金は掛けとして翌月末に受け取ることとした
なお 発送費用80円を現金で立替払いした

仕訳-諸掛り-販売時(立替金勘定)
借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金
立替金
500
80
売上
現金
500
80
仕訳-諸掛り-販売時(売掛金増額)
借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金 580 売上
現金
500
80

日商簿記3級の出題方法は、使用する勘定科目を一覧から選択する形式が多いので、立替金勘定がなければ、買掛金や売掛金を使って回答してください。

出題内容に応じてどちらのパターンで回答するか考えてください。

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