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小口現金:簿記上の扱いと仕訳のルールを解説

公開年月日 : 2018/07/06 更新年月日 : 2018/08/30

このページでは、資産勘定グループに属する勘定科目である「小口現金」の定義や仕訳のルール、注意点解説します。

小口現金とは

小口現金とは、社員の交通費や通信費など少額な取引の支払いにあてるために、予め手許に用意しておく現金のことです。

細かい出費を都度会計係(経理)が対応(仕訳)していては大変です。

そこで、担当者(用度係)がまとまったお金を保有して、社員はそのお金を利用します。

この仕組みはインプレストシステム(定額資金前渡法)と呼ばれています。

インプレストシステムの流れは下の通りです。

小口現金:インプレストシステム(定額資金前渡法)の流れ
① 前渡
会計係が必要な金額を用度係に渡します。渡し方は実際の企業では現金、小切手など様々です。
② 支払
用度係が、取引が生じた社員に対して小口現金を渡します。
③ 報告
実際にかかった費用を定期的に用度係が会計係に報告します。
④ 補給
会計係が報告された支払額と同額の金額を用度係に小口現金として渡します。

小口現金:仕訳ルール

①前渡し時の仕訳は次の通り。

8/1、定額資金前渡制度を採用し、小口現金1,000円を小切手を振り出して用度係に前渡しした

仕訳-小口現金-前渡し
借方科目 金額 貸方科目 金額
小口現金 1,000 当座預金 1,000

小口現金は資産グループに属するため、増加した時は借方(左側)、減少した時は貸方(右側)に記入します。

②小口現金に関する仕訳を行うのはすべて会計係、用度係が社員にお金を渡した時には仕訳は発生しません。

③報告時の仕訳は次の通り。会計係は支払い報告を受けた時点で仕訳を行います。

8/2、用度係から交通費500円、通信費200円の支払い報告を受けた

仕訳-小口現金-報告
借方科目 金額 貸方科目 金額
交通費
通信費
500
200
小口現金 700

交通費と通信費はまだ学習していませんが、費用グループの勘定科目なので発生した場合は借方(左側)に記入しましょう。

④補給時の仕訳は前渡時の仕訳と同じです。

8/2、用度係に小切手700円を振り出して小口現金を補給した

仕訳-小口現金-補給
借方科目 金額 貸方科目 金額
小口現金 700 当座預金 700

支払った分だけ補給をするため、③報告額と④補給額は一致します。(日商簿記3級ではこのようなルールが適用される場合がほとんどです。)

小口現金:補給額と報告額が一致

最後に③支払い報告と④補給が同じタイミングだった時の仕訳は次の通りです。

8/2、用度係から交通費500円、通信費200円の支払い報告を受けたため、直ちに小切手を振り出して小口現金を補給した

仕訳-小口現金-報告と補給が同タイミング
借方科目 金額 貸方科目 金額
交通費
通信費
500
200
当座預金 700

支払報告と補給が同時の場合は、補給された小切手で支払いが行われるため、小口現金勘定を省略できます。試験で小口現金勘定が選択できない場合はこのパターンが当てはまります。

日商簿記3級では少しひねった問題も出題されます。

小口現金:仕訳ルール

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