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固定資産の減価償却:取得した固定資産の価値を費用計上する方法、仕訳ルールを解説

公開年月日 : 2018/07/06 更新年月日 : 2018/08/30

このページでは、決算整理事項のひとつである固定資産の減価償却に関するルールや仕訳方法について解説します。

固定資産の減価償却とは

固定資産の減価償却とは、取得した/保有する固定資産を使用期間に応じて費用計上する処理のことです。

固定資産は購入当初は新品でも使用するにつれて価値が減少します。

たとえば新車を購入した場合。一般的に毎日使用していると1年以内に下取りに出せばそこそこの値段で売れますが購入価格よりは安く販売します。5年後になると売値はさらに下がります。

会計の世界でも下がった価値は財務諸表に反映しなければいけません。

繰り返しになりますが、固定資産の価値の減少分をルールに従って財務諸表等へ反映する手続きを減価償却といい、決算時に行う手続きの一つです。また、価値の減少分は費用として計上されます。この費用のことを減価償却費といいます。

固定資産の減価償却

減価償却費の計算方法(定額法)

まず、計算を解く上で必要な3つの用語を覚えましょう。

固定資産の減価償却:重要用語

名称 内容
取得原価 手数料なども含めた固定資産を取得した価格のこと
耐用年数 固定資産が何年間使えるかを見積もった年数のこと
残存価額 耐用年数が経過して処分するときに予想される売却金額のこと
耐用年数が過ぎたとしても0円にはならない

簿記の世界では減価償却費を計算する方法がたくさんあります。

ただし、日商簿記3級試験では定額法という方法のみを覚えれば大丈夫。

このページでは、定額法について学習しましょう。

定額法では下の計算式に則って1年の減価償却費を計算します。

固定資産の減価償却:計算式1

固定資産の減価償却 例題

当期初に取得した建物を本日決算日につき減価償却を行う。減価償却費を算出せよ。なお、建物は取得原価10,000円、耐用年数5年、残存価額は取得原価の10%とする

例題の内容を計算式に当てはめましょう。取得原価10,000円、耐用年数5年、残存価額は取得原価の10%=1,000円です。これで、減価償却費は1,800円になります。

会計上、この建物は1年間で1,800円の価値が減少しました。

固定資産の減価償却:計算式2

会計期間の途中で資産を購入した場合はどのように計算するのか?この場合は所有した期間をもとに問題の指示に従って月割りもしくは日割りで計算します。

当期7/1に取得した建物を本日3月31日決算日につき減価償却を行う。減価償却費を算出せよ。なお、建物は取得原価10,000円、耐用年数5年、残存価額は取得原価の10%とする

使用した期間を減価償却費として配分するので、1年の会計期間のうち、建物をどのくらいの期間使ったのかを求めてください。

固定資産の減価償却:計算式3

1,350円を減価償却費として費用計上します。

固定資産の減価償却 直接法と間接法

計算した減価償却費を記帳する方法には直接法と間接法の2種類です。

どちらを採用するかによって勘定科目も金額も異なります。ここでは、直接法と間接法でどのような違いがあるのか解説します。

当期初に取得した建物を本日決算日につき減価償却を行う。減価償却費を算出せよ。なお、建物は取得原価10,000円、耐用年数5年、残存価額は取得原価の10%とする

正解は1,800円です。

直接法、間接法それぞれの仕訳を確認しましょう。

固定資産の減価償却 直接法とは

直接法とは、当期の減価償却費を減価償却費勘定(費用グループ)として借方(左側)に記入し、固定資産の勘定を貸方(右側)に記入する方法です。

固定資産勘定の金額を直接減らすことから直接法といいます。

直接法の場合、建物の金額が減少するため、建物の現在価値を知りたい時は建物勘定の金額を調べます。

固定資産-減価償却費計上(直接法)
借方科目 金額 貸方科目 金額
減価償却費 1,800 建物 1,800
固定資産の減価償却:精算表記入例1

固定資産の減価償却 間接法

間接法は、当期の減価償却費を減価償却費勘定(費用グループ)として借方(左側)に記入し、減価償却累計額勘定(資産グループ)を貸方に記入する方法です。

間接法を使用した場合、建物の金額から減価償却累計額を引いて建物の現在価値を求めます。

固定資産-減価償却費計上(間接法)
借方科目 金額 貸方科目 金額
減価償却費 1,800 減価償却累計額 1,800
固定資産の減価償却:精算表記入例2

このように、固定資産の価値を直接差し引く方法を直接法、減価償却累計額を使用して固定資産の価値を求める方法を間接法といいます。日商簿記3級試験においてはいずれの方法も出題されるので覚えておきましょう。

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