単式簿記と複式簿記の特徴と違いについて解説
簿記には一般的に「単式簿記」と呼ばれる方法と「複式簿記」と呼ばれる方法があります。
日商簿記では複式簿記方式を採用していますが、単式簿記の概要もある程度把握しておいた方が良いでしょう。
このページではこれらの違いについて解説します。
単式簿記とは 一つの勘定科目に絞って記録する方法
単式簿記とは、取引を一つの勘定科目に絞って記録する方法のことです。
これは、家計簿のように購入日 商品名 金額だけを記入するイメージです。
下の表が単式簿記のイメージです。
複式簿記とは 借方・貸方それぞれに勘定科目に記録する方法
一方、勘定科目を一つに絞りこまずに借方・貸方に分けて記帳する方法を複式簿記といいます。
日商簿記3級の仕訳問題はすべてこの複式簿記を用います。
下の例のように、左側の借方、右側の貸方、いずれにも必ず勘定科目を記帳します。
8/1、A社の株式を1株あたり80円で100株購入し、代金は売買手数料500円とともに現金で支払った
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
売買目的有価証券 | 8,500 | 現金 | 8,500 |
6/31、所有しているA社の株式100株につき1株あたり2円の配当があり、株式配当金領収書を受け取った
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 200 | 受取配当金 | 200 |
複式簿記の特徴は取引の二面性
複式簿記最大の特徴は、取引の二面性です。
取引の二面性とは1つの取引を2つの側面から捉えることです。
全ての取引には原因としての側面と結果としての側面があります。
360円のハムを買った
この取引はハムの購入(資産の増加)という原因に対し、て現金の減少(資産の減少)という結果、二つの側面があります。
このように取引には理由と結果が結び付いています。
これを取引の二面性といい、複式簿記の最大の特徴です。
複式簿記における仕訳(しわけ)とは
仕訳とは、複式簿記において先の例に挙げた二つの側面を借方・貸方に記帳する手法のことです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
商品 | 360 | 現金 | 360 |
左側を借方(かりかた)、右側(かしかた)といいます。
ハムは商品と書く、商品は左側に、現金は右側に書く、など様々なルールがあります。
第1章 簿記の基本 コンテンツ一覧
- 簿記とは何か?簿記の目的と財務諸表の概要を解説
- 簿記における5つの勘定、勘定科目の概要を解説
- 財政状況を明らかにする貸借対照表(B/S)の仕組みを解説
- 経営成績を明らかにする損益計算書(P/L)の仕組みを解説
- 取引の発生から財務諸表(決算書)ができるまで 簿記一巡の流れを解説
- 単式簿記と複式簿記の特徴と違いについて解説
- 簿記における勘定グループ:資産の概要と代表的な勘定科目を解説
- 簿記における勘定グループ:負債の概要と代表的な勘定科目を解説
- 簿記における勘定グループ:純資産の概要と代表的な勘定科目を解説
- 簿記における勘定グループ:収益の概要と代表的な勘定科目を解説
- 簿記における勘定グループ:費用の概要と代表的な勘定科目を解説
- 転記:簿記で仕訳帳から総勘定元帳へ書き移す作業の概要を解説
- 日商簿記3級で出題される主要簿と補助簿について解説
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