簿記とは何か?簿記の目的と財務諸表の概要を解説
簿記とは、お金とモノの出入りを記録し、報告書を作成するためのルールのことで、もともとは帳簿記入という言葉から作られた造語だそうです。
ちなみに、英語ではbookkeeping(ブックキーピング)、Book(記帳)をKeeping(継続する)といいます。
このページでは、簿記の目的や財務諸表の概要を解説します。
簿記の目的
簿記の目的は、財政状態と経営成績を明らかにすることです。
企業や商店は、財務状況や経営成績を明らかにするために書類を作成して開示します。これを決算といいます。
決算の時に作成する報告書のことを財務諸表といいます。
一般的には、決算書という言葉を用いることもありますが、簿記の世界では財務諸表と言います。
簿記では日々発生するお金やモノの出入りを記録して、決算に向けて財務諸表を作成するまでのルールを学びます。
財政状況を貸借対照表(B/S)、経営成績をという財務諸表にそれぞれまとめます。
- 財政状況:貸借対照表(B/S)
- 経営成績:損益計算書(P/L)
財務諸表の作成期間
財務諸表はどのくらいの頻度で、いつからいつまでの期間を対象に作成すれば良いのでしょうか。
一般的な企業では原則1年に1度、財務諸表を作成します。
1年のはじまりの日を期首、1年の終わりの日を期末=決算日といいます。
そして、この1年間のことを会計期間といいます。
企業は1年間の財務状態と経営成績を財務諸表に反映します。
また、主に上場している企業は1年の間で定期的に途中経過を報告しなければいけません。
現在は3ヵ月に一度財務諸表を作成し、企業外の利害関係者に開示しています。四半期決算、中間決算と言われるものです。
補足:財務会計と管理会計
ここからは余談ですが、財務会計と管理会計の定義について解説します。
上場企業は出資者などの利害関係者には自社の財務状態や経営成績を報告する義務があります。お金を出してくれているので当然のことです。
そして上場企業は定められた共通ルールに従って財務諸表を作成します。作成ルールは国の法律で定められているため、どの会社も原則同じルールで作成します。
また、未上場企業や個人商店も銀行からお金を借りるは財務諸表が必要な場合があります。
このように企業外部の利害関係者に対して、財務状態と経営成績を提供することを目的とした仕組みを財務会計と呼びます。簿記はその過程で活かされる手段です。
そして、簿記の活用方法は、財務諸表を作るため=財務会計だけに限った話ではありません。
企業では、
- 「あとどのくらいお金が残っているのか」
- 「この商品にはいくらのコストがかかっているのか」
- 「営業部はコストに見合った売上を稼いでいるのか」
など、今あるお金をどこに投資するか、仕入、製造、経費などのコストにムダはないか等、適切な経営管理を行う必要があります。このような情報は財務諸表だけでは把握することができないため、他の方法で管理するしかありません。
このように、企業内部の利害関係者に対して経営管理に役立つ情報を提供することを目的にした手法を管理会計といいます。
まとめ
- 簿記とは、お金とモノの出入りを記録し、報告書を作成するためのルールのこと
- 簿記の目的は、「財務状態を明らかにすること」と「経営成績を明らかにすること」
- 「貸借対照表(B/S)」と「損益計算書(P/L)」を作成する。
第1章 簿記の基本 コンテンツ一覧
- 簿記とは何か?簿記の目的と財務諸表の概要を解説
- 簿記における5つの勘定、勘定科目の概要を解説
- 財政状況を明らかにする貸借対照表(B/S)の仕組みを解説
- 経営成績を明らかにする損益計算書(P/L)の仕組みを解説
- 取引の発生から財務諸表(決算書)ができるまで 簿記一巡の流れを解説
- 単式簿記と複式簿記の特徴と違いについて解説
- 簿記における勘定グループ:資産の概要と代表的な勘定科目を解説
- 簿記における勘定グループ:負債の概要と代表的な勘定科目を解説
- 簿記における勘定グループ:純資産の概要と代表的な勘定科目を解説
- 簿記における勘定グループ:収益の概要と代表的な勘定科目を解説
- 簿記における勘定グループ:費用の概要と代表的な勘定科目を解説
- 転記:簿記で仕訳帳から総勘定元帳へ書き移す作業の概要を解説
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