iDeCoを途中解約する方法まとめ!しかし条件は厳しいので、掛金の引き下げやつみたてNISAの利用も検討しよう
iDeCoは例外的な条件を除いて、10年以上の積立かつ、60歳以上の条件を満たさない限りは、解約できません。既にiDeCoに加入していて、加入者が死亡したり障害を負うなど、例外的な条件に該当しない場合は、掛け金を下げたり、拠出を休止するなどして継続することができます。もしiDeCoの加入に将来的な不安を感じているなら、つみたてNISAと比較して検討してみるとよいでしょう。
目次
iDeCoは60歳まで原則的に途中解約できない
iDeCoは、「老後のための資金を積み上げる」ことを目的としています。老後資金を自助努力でつくるために政府がバックアップしており税優遇面でも大きなメリットがありますが、10年以上積立した上で60歳になるまで途中解約できません。
そのため、掛け金の上限額を意識しつつ無理のない範囲で積み立てることが重要です。しかし、何かしらの理由で収入が減り、どうしても掛け金を拠出できなくなってしまった場合はどうすべきでしょうか。
原則的に60歳まで解約できないiDeCoですが、例外もあります。すでに加入済みの人で、どうしても解約したい人は、【A】を読んで解約のための条件を確認してみてください。解約の条件を満たせそうにない場合は、引き続きiDeCoを継続するしかありません。その場合は【B】で解説しています。
もしiDeCoに加入前で、将来的な不安を抱えているなら、iDeCoだけでなく「つみたてNISA」を検討してみましょう。つみたてNISAなら、いつでも資産を売却して資金化できるからです。収入がまだ不安定で、資産形成に不確定要素が多い20代から30代の人は、【C】を読んでiDeCoとつみたてNISAを比較検討してみましょう。
【A】例外的にiDeCoを途中解約できる条件と、もらえるお金
例外的にiDeCoを途中解約できる場合、これまで積み立てた資産は、一時金として支給されます。それぞれ条件を見ていきましょう。
加入者が死亡した場合(死亡一時金)
iDeCo加入者が死亡した場合、加入者の遺族が「記録関連運営管理機関」に請求することで、一時金を受け取れます。この一時金は、加入者の年齢が60歳以下の積立期間中でも、60歳以上の受取期間中でも受け取ることができます。
一般的には、加入者のiDeCoの口座を管理している証券会社などに連絡を取り、手続き方法を教えてもらうのがよいでしょう。死亡後5年を過ぎると、最終的には相続人のいない相続財産とみなされて国庫に戻されるので、手続きは早めに済ませておきましょう。
加入者が怪我や病気で障害を負った場合(障害給付金)
iDeCo加入者が70歳になる前に、傷病によって一定以上の障害状態になった場合、障害給付金が受け取れることがあります。請求先は死亡一時金と同様に、記録関連運営管理機関です。
生涯給付金を受け取るために必要な具体的な条件は以下の通りです。
- 1. 障害基礎年金の受給者(1級および2級の者に限る)
- 2. 身体障害者手帳(1級~3級までの者に限る)の交付を受けた者
- 3. 療育手帳(重度の者に限る)の交付を受けた者
- 4. 精神保健福祉手帳(1級および2級の者に限る)の交付を受けた者
障害給付金は、死亡一時金と違って、受け取り方を以下の3種類から選べます。
- i.年金受け取り
- ii.一時金受け取り
- iii.年金受け取りと一時金受け取り
その他の必要条件を満たした場合(脱退一時金)
上記以外で、iDeCoを途中解約し、これまでの掛金を脱退一時金を受け取るためには、以下の5つの条件を満たすことが必要です。
- 1.国民年金保険料の納付を免除されていること
- 2.確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと
- 3.通算拠出期間が3年以下、又は個人別管理資産が25万円以下であること
- 4.最後に企業型確定拠出年金又は個人型年金の資格を喪失した日から2年以内であること
- 5.企業型年金の加入者資格喪失時に脱退一時金を受給していないこと
これら条件からも分かる通り、iDecoに一度加入したら、60歳以降にならないと途中で引き出すことはできないと考えた方がよいでしょう。
【B】iDeCoを途中解約せずに継続する方法
これまでiDeCoの途中解約は、基本的には不可と説明してきましたが、怪我や病気、転職などの何かしらの原因で、これまで通り掛金を捻出できなくなる事態は誰にでも起こり得ます。その場合は、掛け金を下げる、払込の一時休止をするなど検討しましょう。
掛金を下げる
iDeCo加入時に決めた掛け金の金額は、年に1回だけ変更できます。最低金額は5,000円、1,000円単位で設定できます。掛け金を変更する時には「加入者掛金額変更届」を銀行や証券会社など、iDeCoの運営管理機関へ申請しましょう。手続きにかかる日数は運営管理機関によって異なるので、早めに対応しましょう。
拠出を休止する
運営管理期間に「加入者資格喪失届」を提出することで、iDeCoの加入者から運用指図者に転換し、掛け金の拠出を休止することができます。拠出を一時休止していたとしても、月々の口座管理手数料がかかる点は覚えておきましょう。また、再度、加入申し込み手続きすることで、いつでもiDeCoの拠出を再開できます。
【C】iDeCoの運用が不安なら、つみたてNISAと比較して検討してみよう
つみたてNISAとは?iDeCoと比較して特徴を理解しよう
2018年1月にスタートしたつみたてNISAは、長期的な積立によって資産形成を目指す人に向けて作られた制度です。NISAと同様に毎年の非課税投資枠から得た運用益が非課税になります。NISAと違うのは、非課税投資枠が年間40万円で、投資期間が最長20年という点です。
まずは、つみたてNISAとiDeCoの特徴を比較することで、それぞれの違いを明確にして理解しましょう。
種類 | つみたてNISA | iDeCo |
---|---|---|
対象年齢 | 20歳以上 | 20歳以上60歳未満 |
最大期間 | 20年 | 60歳まで(運用はさらに10年延長可) |
非課税枠(年間) | 40万円 | 自営業者:月額6万8,000円 公務員:月額1万8,000円 会社員:月額 2万3,000円(※各種年金の有無によって異なる) 会専業主婦(夫):月額 2万3,000円 |
非課税枠(総額) | 800万円 | 加入者の職業によって異なる |
節税メリット | 運用で得た利益は非課税 | 運用で得た利益は非課税。掛け金は全額所得控除。受け取り時も控除あり。 |
投資対象 | 一定の条件を満たした投資信託、ETF | 株式や債券、リート、金などに投資する投資信託、定期預金など |
投資方法 | 定期的・継続的な積立 | 毎月一定額の積立 |
出金 | 自由 | 60歳まで不可。(積立期間が短い場合は最大65歳まで不可) |
【ポイント1】つみたてNISAはいつでも資金化できる
資産運用中、掛金支払いの継続が困難になったり、まとまった資金が必要になったりすることもあります。iDeCoと違い、つみたてNISAは口座にある銘柄を売却することで、資産をいつでも資金化できます。例えば、住宅取得資金や教育資金など、60歳未満の時点で使う予定の資金準備は、つみたてNISAを活用するのがおすすめです。
【ポイント2】つみたてNISAは金融庁の厳格な基準をクリアした銘柄のみが対象
iDeCoは投資信託だけでなく、元本確保型の定期預金などにも投資できます。これに対して、つみたてNISAは金融庁が定める基準を満たした投資信託やETF(上場投資信託)に投資できます。ある程度厳選されたリスクの少ない銘柄から得たびたいと考えている投資初心者にとって、運用を始めやすいと言えるでしょう。
金融庁の定める基準をわかりやすく言うと、「運用期間が長いもの」「分配頻度が低いもの」「信託報酬が一定以下のもの」「購入時手数料が0円のもの」で、160本程度の銘柄が選ばれています。
【ポイント3】iDeCoは所得控除の対象にできるので節税面で有利
つみたてNISAもiDeCoも運用益が非課税である点は共通です。しかし、iDeCoの場合は、掛金全額が所得控除の対象になります。所得税を払ってる人にとっては、大きな節税メリットを受けられます。
つみたてNISA、iDeCoを始める人におすすめしたい証券会社
iDeCoへの加入を考えていたけど、ここまでの説明で自分にはつみたてNISAが向いていると判断した人には、以下の証券会社をおすすめします。
【つみたてNISA】人気No.1!つみたてNISAで初めての資産運用する人におすすめのSBI証券
SBI証券では、つみたてNISAで投資できる投資信託の銘柄数が、全証券会社の中でNo.1(楽天証券とタイ・2019年5月7日時点)です。金融庁の金順をクリアしたつみたてNISA対象商品のうち、そのほとんどの投資信託を取り扱っています。
最低投資金額は100円で、毎月・毎週・毎日から積立頻度を選べます。かんたん積立アプリを使えば、スマホからも簡単に管理できるので、資産運用はつみたてNISAが初めての人にもぴったりです。
さらにSBI証券は申し込んでから口座開設までのスピードが早く、最短0日での口座開設が可能です。他社の場合は1週間以上かかることもあるので、待たされたくない人にもおすすめできます。
SBI証券はIPO実績も多くあります。IPOに当選できなくても、ポイントが貯まって当選しやすくなる仕組みもあります。もしも今後、IPO株取引に興味が出た場合、SBI証券の口座を持っておくと役立つでしょう。
以上のように、SBI証券はつみたてNISAだけでなく、株取引全般において他社よりも優れた特徴があります。ネット証券の口座開設数もナンバーワンを誇っており、つみたてNISAをスタートに、これから資産運用する人におすすめしたい証券会社です。
【つみたてNISA】ポイント活用&金利でコスパが強い!楽天ユーザ以外にもおすすめの楽天証券
投資信託の銘柄数が、全証券会社の中でNo.1(楽天証券とタイ・2019年5月7日時点)。最低投資金額は100円で、毎月・毎日から積立頻度を選べます。
楽天証券は、楽天カード利用者に大きなメリットがあります。つみたてNISAの積立を楽天カードで決済すると100円につき楽天スーパーポイントが1ポイント貯まります。また貯めたポイントを積立に使うこともできます。他の条件が同じである以上、ポイントを貯めて使える楽天証券がコスト面では優れてると言えます。
楽天証券も口座開設数は、SBI証券に次ぐ2位。手数料の安さや商品ラインナップでは、SBI証券にも引けを取りません。楽天証券口座と楽天銀行口座を連携させるマネーブリッジを利用すれば、普通預金の金利が通常の5倍の0.10パーセントになります。楽天のサービスを日常的に利用しているなら、楽天証券がおすすめです。
【iDeCo】投資信託のラインナップが圧倒的!口座管理料が無料で最安のSBI証券
ここまでの説明を読んで、それでもiDeCoを選ぶ場合は、SBI証券をおすすめします。
iDeCoは加入時に2,777円の手数料がかかります。また、毎月合計167円(国民年金基金連合会に103円+信託銀行に64円)の手数料もかかります。これらの手数料はどの金融機関を選んでも共通でかかります。
長期的な投資を考えるなら、手数料をいかに安く抑えるかが重要なことは言うまでもありません。そのため、これ以外でかかる口座管理料は、最も安い運用会社を選ぶべきです。ネット証券であれば、月額の口座管理料、加入・移管時の手数料、運営機関変更時の手数料が全て無料のサービスがあります。
その中でも暮らしの達人は、SBI証券をおすすめします。多くの証券会社の投資信託のラインナップは20本〜30本程度ですが、SBI証券は80本以上(2019年4月時点)と充実しているからです。特に、「セレクトプラン」は、ほとんどの投資対象で信託報酬が最安のインデックス型投信が揃えられていて人気です。