中国語検定の概要・まとめ:受験資格から難易度、申込方法まで詳しく解説
中国語検定とは日本中国語検定協会が主催している中国語の能力を測る検定試験のことです。略して中検と言われています。
数ある中国語関連の資格試験なかでも中国語検定は最も有名で受験者数の多い試験で、年間5万人以上が受験しています。
このページでは、中国語検定の受験資格や難易度、必要な学習時間など、中国語検定に関わる基本的なことから様々な疑問までまとめましたのでご参考ください。
目次
知名度:世界的に有名な資格なのか
いいえ。
中国語検定は日本人のための中国語資格で、おもに日本人を対象とした試験です。
外国人にはほとんど知られていません。
世界的に有名な中国語の資格にはHSKがあります。
「日本人が間違えやすい」「日本人は覚えた方が良い」内容がたくさん出題されるので、日本人が中国語を勉強するには最も適した資格といわれています。
中国語検定の受験資格
受験資格に制限はなく誰でも受験できます。
中国語検定の難易度と学習時間の目安(1級~準4級)
1級、準1級、2級、3級、4級、準4級の6段階にレベル分けされ、各級の認定基準(レベル)は主催の日本中国語検定協会で以下のように定義されています。日本中国語検定協会公式サイトより引用
級 | 認定基準 |
---|---|
準4級 |
中国語学習の準備完了 学習を進めていく上での基礎的知識を身につけていること。(一般大学の第二外国語における第一年度前期修了,高等学校における第一年度通年履修,中国語専門学校・講習会等において半年以上の学習程度。) 基本単語約500語(簡体字を正しく書けること),ピンイン(表音ローマ字)の読み方と綴り方,単文の基本文型,簡単な日常挨拶語約50~80。 |
4級 |
中国語の基礎をマスター 平易な中国語を聞き,話すことができること。 (一般大学の第二外国語における第一年度履修程度。)単語の意味,漢字のピンイン(表音ローマ字)への表記がえ,ピンインの漢字への表記がえ,常用語500~1,000による中国語単文の日本語訳と日本語の中国語訳。 |
3級 |
自力で応用力を養いうる能力の保証(一般的事項のマスター) 基本的な文章を読み,書くことができること。簡単な日常会話ができること。(一般大学の第二外国語における第二年度履修程度。) 単語の意味,漢字のピンイン(表音ローマ字)への表記がえ,ピンインの漢字への表記がえ,常用語1,000~2,000による中国語複文の日本語訳と日本語の中国語訳。 |
2級 |
実務能力の基礎づくり完成の保証 複文を含むやや高度の中国語の文章を読み,3級程度の文章を書くことができること。 日常的な話題での会話が行えること。 単語・熟語・慣用句の日本語訳・中国語訳,多音語・軽声の問題,語句の用法の誤り指摘,100~300字程度の文章の日本語訳・中国語訳。 |
準1級 |
実務に即従事しうる能力の保証(全般的事項のマスター) 社会生活に必要な中国語を基本的に習得し,通常の文章の中国語訳・日本語訳, 簡単な通訳ができること。新聞・雑誌・文学作品・実用文等やや難度の高い文章の日本語訳・中国語訳。 |
1級 |
高いレベルで中国語を駆使しうる能力の保証。 高度な読解力・表現力を有し,複雑な中国語及び日本語(例えば挨拶・講演・会議・会談など)の翻訳・通訳ができること。 (1次)時事用語も含む難度の高い文章の日本語訳・中国語訳。熟語・慣用句等を含む総合問題。(2次)中国人との会話及び通訳。 |
1級が最も難しく、準4級が最も簡単、級が上がるにつれて多くの学習時間を要します。
試験は年に3回実施され(3月、6月、11月)、時間割は下の通りです。
- 午前:10時00分~準4級、3級、準1級
- 午後:13時30分~4級、2級、1級
初めて受験する場合、準4級と4級、もしくは4級と3級を併願する方が多いです。
4級までは短期間の勉強で合格できるので一気に勉強してしまいましょう。
準4級と4級は、効率よく学習すればおおよそ1カ月くらいの学習期間で合格できます。試験自体は簡単ですが基本中の基本なので論点をしっかりマスターして満点合格を目指しましょう。学習時間の目安は準4級:60~120時間、4級:120~200時間
3級は、通常1年程度の学習期間が必要。しっかりと発音、文法、語彙(単語)の基本を押さえてないと合格は難しいです。200~300時間が目安と言われています。
また最初にしっかり発音を学習しなかったおかげで苦労する方がいます。中国語検定は基本の積み上げが大切です。基本をおろそかにすると学習がすすめば進むほど苦労します。
準4級の合格が目標なら発音や文法を適当に勉強しても合格できますが、3級以上を目指すならはじめから基本をしっかりおさえた方がトータルで効率よく学習が進みます。
また、2級の学習時間は3級のおよそ3倍もかかります。さらに、準1級と1級はどれだけ勉強しても受からない人もたくさんいます(英検1級のようなイメージです)。
合格基準点と合格率
中国語検定には合格基準点があり、それを満たすと合格します。
試験はリスニング(聞き取り)と筆記試験それぞれに合格基準点が設定されていて、両方の合格基準点に届かなければいけません。
合格基準点は以下の通り。(一部日本中国語検定協会HPより引用)
配点はリスニング、筆記各100点、合計200点満点。
※準4級のみ各50点、合計100点満点で、合格基準点はリスニング、筆記の合計点で設定されています。
分類 | 準4級 | 4級 | 3級 | 2級 | 準1級 | 1級 |
---|---|---|---|---|---|---|
リスニング | 60(100)※ | 60(100) | 65(100) | 70(100) | 75(100) | 85(100) |
筆記 | 60(100)※ | 60(100) | 65(100) | 70(100) | 75(100) | 85(100) |
少し古いデータですが、第71回試験(平成22年6月27日実施)の合格率は次の通り。
準4級 | 4級 | 3級 | 2級 | 準1級 | |
---|---|---|---|---|---|
合格率(%) | 75.8 | 55.7 | 28.8 | 18.7 | 22.0 |
級が上がるにつれて合格率が低くなります。
合格率が下がる3級からは対策を練って臨むべきです。
合格基準点をもとに合否判定するため当日の試験の難易度によって合格率が変わります。
3年分(第71回~63回)の平均合格率、最高合格率、最低合格率を級ごとに算出したので参考にしてみてください。
例えば3級だと41.4%~27.9%の開きがあります。第69回の合格率が一番低いので最も難しかった試験だと推測できます。過去問題を解くときは、合格率の低かった回で何点取れたか確認しましょう。合格基準点を上回るスコアが取れるまで安心はできません。
級 | 平均合格率 | 最高合格率 | 最低合格率 |
---|---|---|---|
準4級 | 72.7% | 80.9%(第67回) | 64.1%(第65回) |
4級 | 49.0% | 65.4%(第66回) | 36.5%(第65回) |
3級 | 33.1% | 41.4%(第65回) | 27.9%(第69回) |
2級 | 19.1% | 25.4%(第65回) | 13.8%(第68回) |
準1級 | 12.8% | 22.0%(第71回) | 8.5%(第68回) |
1級 | 2.7% | 3.0%(第69回) | 2.4%(第63回) |
申込方法
個人の申し込みは郵送とインターネットから選択できる
郵送は手続きが面倒なので、可能であればインターネット申込をおすすめします。
郵送申込
- 1.受験案内(申込用紙)と振込用紙を入手
- 中国語検定協会のホームページから資料請求、もしくは指定された取扱書店・大学生協で入手
- ホームページから送り先住所などを登録、しばらくすると自宅に届く
- 指定された取扱書店と大学生協はその場で受け取れるが、取扱店舗は限られているので注意
- 2.金融機関で振込
- 銀行もしくは郵便局で振込手続きを行い、受験料領収証を貰う
- 領収証は申込用紙と一緒に郵送するので捨てないこと
- 3.申込用紙の記入・郵送
- 申込用紙に必要事項を記入、受験料領収証と一緒に検定協会に郵送
- 申込用紙に縦4cm×横3cmの証明写真を貼る
申込用紙の入手、金融機関で振込、写真貼り付け
以上の3点がとても面倒です。
インターネット申込
日本中国語検定協会のウェブサイトから申し込めます。
- 1.写真データを用意(規格は次の通り)
- 3ヶ月以内に撮影されたもの(カラー・モノクロともに可)
- 本人のみ,無帽,頭部全体が写っているもの
- 頭部全体は写真の半分以上を占めること
- 正面を向いた本人の顔がはっきり確認できるもの
- 無背景であること(白,薄い色であれば可)
- 携帯電話で撮影された写真は不可
- ファイル形式はjpg・gif・png
- 画像サイズは横110px × 縦140px(標準)
- ファイルサイズは150KB以下
- 2.証明写真をデータファイルで送付
- 3.受験料の支払
- 登録完了後、画面上でクレジットカード払い
- クレジットカードをお持ちでない場合、コンビニエンスストアか郵便局で支払う
中国語検定の試験会場
申込時に会場を選べる
中国語検定では、申込のタイミングで試験会場は日本中国語検定協会のウェブサイトに公開されていて、すきな会場を選択できます。
TOEIC、英検、簿記など多くの人気資格では、「東京」、「大阪」など地域のみが選択できるケースが多く会場まで指定できません。一方、中国語検定では会場も選択できます。複数の会場を選べる地域の人はより自宅から近くて綺麗な会場を選びましょう。上履きの必要な会場などは避けたいところです。
音響設備はどの会場でも原則同じ
リスニング試験対策として、音声が聞き取りやすく設備の整った会場を選びたいところですが、中国語検定ではどの会場でも公平に試験を解いてもらえるように(一部の例外を除いて)ラジカセを使っています。
私が受験した時もラジカセ使ってました。
施設のスピーカーを使うなら会場の音響設備を気にしなければいけませんが、中国語検定ではその必要はありません。
受験会場は、自宅からの通いやすさやその他の設備の良さを基準に選びましょう。
試験当日の流れ
当日は遅刻厳禁
受験会場の入り口付近に受験番号と部屋番号が書かれた案内が掲示されいるので、これに従って部屋へ向かいます。
併願する方は午前と午後で部屋が違うので注意してください。
部屋に入ると受験番号のシールが座席に貼られているのでご自身の受験番号が書かれた座席に座りましょう。
開始前には試験官から注意事項の説明があります。
午前試験は10時~、午後は13時30分から始まります、それまでに入室しないとリスニング試験終了まで入室ができず、不合格になってしまいます。
「10時なりましたー!」の合図と同時に部屋の扉を閉めるので本当に入室できません。
余裕を持って試験に臨みましょう。
事前説明の内容
試験開始前に行われる事前説明のおおまかな流れです。
所要時間は10分程度。
- 1.注意事項の説明
- リスニング試験終了まで入退室は認められない。
- 携帯電話や時計などの音の出る機器は全て電源をOFFにする
- 試験中に音が鳴った場合は失格
- 机の上には受験票、筆記用具、腕時計以外は置かない
- 2.音量確認
- リスニング試験で使用するラジカセの音が聞こえるか、音量に問題がないか確認
- 試験官がラジカセから音を流して「聞き取りづらい方は手を挙げてください」と聞かれるので問題のある人は挙手で知らせる
- 3.時計合わせ
- 試験官の時計と受験者の時計の時刻を合わせる(試験官の時計で試験が進むため)
- 「ただ今より時計合わせをします。今試験官の時計は○○時○○分です。試験はこの時計で○○分から開始します」とアナウンスされる
- 4.解答用紙配布
- 解答用紙には既に名前と受験番号が印字されていて、印字内容に誤りがないか確認するよう指示を受ける
- 5.記入上の注意点の説明
- 受験番号と氏名を確認してください。
- HBかBの鉛筆orシャープペンシルを使ってください。消しゴムで消してね。
- 解答欄以外には何も記入しないでね。
- 汚したり、折り曲げたりしないでね。
- 6.問題用紙の配布
- 試験開始まで開いてはいけない
- 「ページにトビがないか確認してください」と聞かれるので問題用紙の下側に書いてあるページ数だけ確認する
- 7.試験の流れの説明
- 試験はリスニング⇒筆記の順番で進む
- 筆記試験の間に本人確認(写真照合)を行う旨の説明も受ける
ここまでが試験前の事前説明です。説明が終わったらいよいよ試験スタートです。
合格発表
試験から1カ月以内に自宅に合否結果が郵送されます。
当時は受験日から数えて20日後に合格発表がありました。
合格発表は、
- 合否に関わらず受験者全員に合否結果が通知されます。
- 日本中国語検定協会ホームページで合格者の受験番号が掲示されます。
- 合格者の中で希望者は合格証明書、認定証書を後日有料で交付されます。
郵送よりも先にホームページで受験番号が掲示されるのでネットで合否を知ることができます。
但し合格者には合格証明書は届きません。ほしい方は有料(300円)で申し込みます。
価格は次の通り。
- 合格証明書・受験証明書:300円
- 認定証書(豪華布製証書入れ付):2,000円
- 英文合格証明書:600円